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Wolfhound Monthly

アイリッシュウルフハウンド雑記帳

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成長線と歯のはなし



8月に入り、タラは生後6ヵ月目に突入。ずっと続いていたロケットのような竹の子のような成長っぷりも、少し落ち着いてきました。毎週2〜3cm、2〜3kg増えていたのが、1〜2cm、1〜2kgぐらいになった感じかな。スローダウンしても、成長はまだまだ2歳頃まで続くけれど。

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急成長も一段落。「は〜疲れたわ〜」



成長期にしか見られないものといえば「成長線」(骨端線、骨端軟骨板とも)。外見ではわかりませんが、レントゲンを撮ると大腿骨などの長い骨の両端にくっきり写ります。成長線の部分は軟らかい軟骨で、いままさに骨の細胞が増殖を繰り返し、骨が日々成長している現場。軟らかくて壊れやすいので、成長期の超大型犬は運動させすぎ注意!太り過ぎ注意!とうるさく言われるのです。成長期が終わると軟骨も硬い骨に置きかわり、成長線はなくなります。


growth plates Tara 16wk
IWの子犬の股関節と大腿骨のレントゲン。矢印が指しているのが成長線。



成長線がいつ頃なくなるか。実は骨の部分ごとに違いますし、同じ部位でもかなりの幅があります。ある研究によると、一番早い場所は3.7ヵ月、一番遅い場所は17ヵ月と、1年以上の開きがあるとか。成長に時間がかかる超大型犬では、最も遅い箇所はおそらく20ヵ月以上になるでしょう。そう考えると、ウルフハウンドの成長のあのアンバランスぶりが納得いく気がしませんか?


growth plate closure
成長線閉鎖の平均的な時期(月齢) Source: Canine growth plate closures



全ての部分が均等に成長するのではなく、あるときは胴がぐっと伸びたり、次の週にはニョキニョキ脚が長くなったり、マズルが伸びたり、首が伸びたり…。パーツごとに違う時期に育っている様子が、大きい犬だけにわかりやすいですよね。だから最終的な大人になった時の体型が、成長過程ではわりとわかりづらかったりもします。

そこで歯です。ウルフハウンドはパーツごとに育つ、つまり上顎と下顎も、上の歯と下の歯もバラバラな速度で育つもののようです。生後3ヵ月頃に正しい噛み合わせだったのに大人になったらオーバーショットだったとか、逆に子犬の頃噛み合わせがよくなかったのに大人になったらちゃんとシザースバイトになったとか。うちの犬たちをみていると、成長過程では微妙にオーバーショット気味になることが多く、大人になって正しい噛み合わせになるのがパターンみたい。


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犬の歯の噛み合わせ


下段は前歯(切歯)の噛み合わせの模式図。シザースバイト(ハサミ状咬合)では上の前歯が下の歯にわずかにかぶさるように接している。シザースバイトが望ましい。※下手な絵でごめんなさい。わかりやすく書いたつもりですが、細かな点は不正確かも。


実はウルフハウンドではこの20年くらい、噛み合わせの問題が増えていると言われています。若干のオーバーショットくらいは大したことではないですが、増えているのは下顎の発達が不十分で顎の幅が狭く、下の犬歯が内側に傾いて生えたりするために、下の犬歯が上顎の歯茎や口蓋に突き刺さってしまうケース。犬歯が刺さる部分が慢性的な炎症を起こしたり、ひどい傷になったりして、犬歯を削る・抜くなどの処置が必要になります。私は日本でこういう例を見たり聞いたりしたことはないのですが、海外でドッグショ―のジャッジをしている人たちに聞くと、多くの実例を見ていると言います。

ウルフハウンドは時間がかかるうえにバラバラとアンバランスな成長をする。そこで歯と成長の話がつながります。先日届いたイギリスのIWクラブ会報に載っていた歯の記事によると、ウルフハウンドの顎と歯の成長は生後12〜14ヵ月頃まで、遅いと18ヵ月頃まで続く。下顎の方が後まで成長し続けるので、生後6ヵ月頃に正しい噛み合わせだった犬が成犬時にレベルバイトやアンダーショットになることがある。成長期に下の犬歯が上の歯茎に若干刺さり気味になるようなことがあっても、成長とともに改善して正しい噛み合わせになることも多い。噛み合わせが正常かどうか、また歯の治療をすべきかどうかは、やはり長い成長期の終わりを待たないとわからないというお話でした。


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「なるほど〜」

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ちなみにいまのタラちゃんの歯はこんな。まだ犬歯も小さい。




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ルアーコーシングとは


グレイハウンドなどのサイトハウンドがする狩り(ウサギ狩りなど)をコーシングと言います。生きた動物を獲物とする代わりに、ルアー=犬を誘うオトリを追って走るのがルアーコーシングです。嗅覚ではなく視覚によって獲物を追い狩りをするサイトハウンドのドッグスポーツです。


コースの特徴と仕組み

猟犬に追われて逃げるうさぎは、犬をかわそうと急ターンを繰り返しながら高速で走ります。競技としてのルアーコーシングはうさぎ狩りを模しているので、コースは通常、500〜800メートル程度の長さで、途中に何ヶ所かコーナーを設けてジグザグにします。(簡易バージョンとして、短い直線コースで行うこともあります)。

ルアーコーシングの会場には、牧草地など、広くて走りやすく、かつ安全な場所が使用されます。地面に起伏があったり、また芝生や短い草地のほか、土、砂、雪上でも行うなど、競技会ごとにコースも環境も変化に富んでいるのもルアーコーシングの面白いところかも。

ルアーは、本物の動物の毛皮や、ビニール袋(いわゆるレジ袋)、プラスティックテープの束などを用います。そのルアーに丈夫な紐をつけて、モーター(コーシングマシン)で巻き取ります。コーナーにはプーリーという部品を地面に刺して設置します。紐をすべてのプーリーに引っ掛けることで、ルアーがコース通りジグザグに動きながら巻き取られて行きます。

ジグザグのコースは、例えばこんな感じ。
lurecoursingコース例


競技会

北米やヨーロッパでは、地元クラブ主催の大会から全国大会、さらにヨーロッパ・コーシング・チャンピオンシップなど、さまざまなレベルの競技会があります。FCIの大会では、ゼッケンを着けて一度に2頭ずつ走ります。ケガ防止のため、マズルガードの装着も義務づけられています。また、公式競技会に出るためには、まず基本的な適性試験を受けて資格を取得する必要があります。

ちなみに、公式大会ではサイトハウンド犬種限定になりますが、サイトハウンド以外の犬種でもコーシングが大好きな犬は沢山います(IWオフ会では、アイリッシュセッターとかシベリアンハスキーとかが印象に残っています)。ドッグスポーツのひとつとして、いろんな犬に楽しんでもらえればいいなと思います。

こちらは2014年にフィンランドで開催されたEIWCの初日にあったルアーコーシング大会で撮影した動画です。ウルフハウンドだけでも数十頭はエントリーした大会でした。6月というのに猛烈寒く、しかも雨風が強いなか傘をさしながら撮影したので、見づらくてすみません。しかも途中コースの起伏のため、見学位置からは犬がまったく見えなくなる場所があります。この動画では、2頭でスタートし1頭がじきにコースアウト、もう1頭は完走しました。




採点

ルアーコーシングは、審査員による採点で順位が決まる競技です。トラックレースや直線レースと異なり、早くゴールすればよいわけではありません。

FCIのルールでは、複数の審査員が犬の走りをスピード、意欲、アジリティ(俊敏さ)、知能、持久力の5項目(各20点満点)によって採点します。アメリカの団体ASFAでは、スピード(25点)、アジリティ(25点)、持久力(20点)、意欲(15点)、ルアーを忠実に追っているか(15点)の合計100点満点です。

国や団体によって採点ルールは少しずつ異なりますが、見ている点はだいたい同じです。たとえば、ジグザグコースの途中をショートカットして早くゴールに向かおうとするような行為は減点になります。途中でルアーを見失うような場合も同様です。ルアーを最後までしっかりと忠実に追いながら、かつスピードも持久力もあることがポイントです。


ルアーコーシングの魅力

大型のサイトハウンドであるウルフハウンドにとって、ウサギは犬種本来の獲物ではありません。ウルフハウンドが元々主な獲物としていたオオカミや鹿、猪など大型の獲物の動きは、ウサギの動きとはかなり異なります。しかし、実猟においてウルフハウンドという犬種の身体能力や狩猟本能を試したり、磨いたりすることは、現代社会ではほぼ望めません。自然環境が失われ、あるいは動物愛護の観点からも問題視されることも多くなっているからです。そうしたなかで、サイトハウンドとしてのスピード、スタミナ、獲物を追う狩猟本能をみるのに、ルアーコーシングは良い機会を提供してくれます。

そんなことはさておいても、サイトハウンドにとっては、周りを一切気にせず集中して何かを追いかけて全力で走ることができる喜びは、他では得難い最高に楽しい経験です。他の犬と遊びながら走るドッグランなどとはまた違う経験ができる場。まさに犬種本来の能力を遺憾なく発揮できる場がルアーコーシングなのです。

ルアーコーシングは、サイトハウンド自身にとってもとても楽しいイベントですが、飼い主にとってもやはり楽しみは大きいと感じます。全力ギャロップで軽やかに身を翻しながら真剣に走るサイトハウンドの姿は、とても美しいものです。犬が心身ともに充実した時間を過ごしているのを見るだけで、飼い主にも同じような充実感があるから不思議です。ドイツ語ではサイトハウンドのことをヴィントフント(風犬)と言います。風になって走る犬、風と自然と人とが一体になれる。ルアーコーシングの魅力はそんなところにあるのかなと思います。

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IWオフ会のルアーコーシング

IWオフ会では2003年の第1回から、場所や形式は多少変わってもずっとルアーコーシングを続けてきました。オフ会はコーシングのための集まりではないので、狩猟本能の強い犬もいれば、そうでない犬もいます。ルアーに興味がまったくなかったり、周囲に気が散って集中できない犬もいます。どんな犬でも楽しめるように、100mの直線コースでタイムを計って順位を決めるという、本来のルアーコーシングとは少し違う、簡易バージョンでやってきました。しかも、飼い主さんはゴール地点に先回りして犬の名前を呼んでも、あるいはスタート地点から一緒に走ってもよい、何でもありのスタイルです。これはこれで、運動会のノリで楽しいかなと思います。

20頭くらいのウルフハウンドを走らせると、だいたい5〜6頭くらいでしょうか、コーシングキチガイになってくれる犬がいます。スタート地点でスタート合図まで抑えておくのが大変、というような犬です(ティモもそうでした)。こういう犬は、100メートルの直線コースではまったく物足りない。100メートルでは、体の重いウルフハウンドの場合、ようやくスピードが乗ってきたところで終了になってしまうのです。

やっぱり本来の長いジグザグコースを走らせてみたい。そこで2014年のオフ会で初めて、200メートルのジグザグコースを設定してみました。いままで直線だったのが急にジグザグになって戸惑う犬もいれば、見事にルアーに集中して最後まで追った犬、ゴールはあっちでしょとショートカットした頭の良い犬と、結果はいろいろでしたが、本格的なルアーコーシングの醍醐味を少しでも感じられた経験となりました。コースの距離をもっと長くすると、個々の犬のスタミナや意欲といった点もよりはっきりわかるのかなと思います。

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本格的ルアーコーシングに向けて

800メートル近い長いコースで本格的に走るには、本来持っている資質に加えて、日頃の運動での体作り、コンディショニングも重要になってきます。ウルフハウンドは大きく重たいので、距離が長いと終盤で体力が続かなくなる傾向があります。理想的なコンディション維持には、超大型サイトハウンドゆえの難しさもありますが、やはりサイトハウンドを飼った以上、飼い主として最善を尽くしてあげたいところです。海外の熱心な愛好家は、仔犬の頃から遊びのなかでルアーを追いかけさせたりして、才能のある犬を見つけ、能力を引き出していくこともします。

本格的なルアーコーシング競技をしようと思うと、日本ではまだ環境が整わず、さまざまな問題に行き当たります。ジグザグとはいえ800mのコースを作るには、かなり広い場所が必要です。IWオフ会では個人的なツテを頼って牧草地をお借りしていますが、もっと広い場所となると、商業施設などを探すことになり、小規模な会では費用面が厳しい課題になります。

もっと重要なこととして、日本では公式な競技として定着していないために、現状ではルアーコーシングの審査員がいません。直線コースでタイムを計る形式なら簡単ですが、ひとつの大会で何十頭もの犬を公平に採点していくには、それなりの訓練や経験が必要。ルアーマシンの操作や、安全で走りやすいコース設定などの点でも同様に、経験を重ねていく必要があります。

コースが長くなるほど、完走できる犬も減ってきます。いろいろな条件を考えると、現段階では200〜300メートルのコースが現実的かなと思っています。欠けているものは沢山あるかもしれないけれど、まずは何より「犬が楽しむ」ことが一番の目的ですから。そして、だんだんとルアーコーシング・ファンが増えれば、いずれは本格的な競技会への道も拓けてくるんじゃないかと期待しています。

最後に、アメリカのルアーコーシングについて説明した動画をご紹介します。参加者の方々のインタビューも沢山交えていますが、何人かの人が、勝つためとかではなく何よりも犬の喜びのためにやっている、と語っているのが、深く深く頷けます。英語ですが、いろんなサイトハウンド犬種が走る姿も見れますので、どうぞご覧ください。




骨肉腫の最新治療研究

アメリカでは11月は全国ペットの癌啓発月間(National Pet Cancer Awareness Month)です。ということで癌にまつわる話題。

人間と同じく犬でも癌は身近な病気ですが、遺伝的素因が発症に関与するため、純血種の犬の場合には犬種ごとにかかりやすい癌の種類や罹患率が異なります。残念ながらアイリッシュ・ウルフハウンドも癌の発症率が高い犬種のひとつ。約3割の犬が癌で亡くなるとされています。そのなかでも多いのが、非常に進行が早く攻撃性の高い悪性腫瘍である骨肉腫(bone cancer/ osteosarcoma)です。しかも今のところ根治できる治療法はありません。大型犬種の主に中〜高年齢の犬に多くみられる癌で、IWのほかにディアハウンド、グレイハウンド、グレート・デーン、ニューファウンドランド、ロットワイラーなどでも多く発生しています。

病気はなんであれ嫌なものですが、骨肉腫は犬にとっても飼い主にとっても最も辛い病気のひとつではないかと思っています。(詳しくはWolfhound PeopleのHPの「救急箱」骨肉腫のページをご覧ください)。そのため心臓病などと並んでウルフハウンド関係者の間での関心も高く、2000年代になってから原因遺伝子を突き止めるDNA研究がアメリカ、ヨーロッパ、イギリスでそれぞれ進められています。そして、免疫療法が有効な癌であることはすでにわかっていたのですが、この免疫作用を利用した今までの方法よりも予後の良い治療法の研究が現在アメリカで進んでいます。

新しい治療法は、アメリカのペンシルヴェニア大学のニコラ・メイソン博士らが進めている、免疫作用を活用したワクチンによる療法です。現在は第一期の臨床試験を行い、安全性と治療効果を確認している段階です。

ここからちょっと細かい話になりますが、このワクチン療法には、ADXS31-164という遺伝子組換えのバクテリア・ワクチンを用います。このワクチンには、 Her2/neuという成長受容体を発現するように組換えされたListeria monocytogenes というバクテリアが含まれています。Her2/neuは、犬の骨肉腫細胞を含む多くの癌細胞に発現する成長受容体ですが、ListeriaバクテリアもHer2/neuタンパクを含むため、ワクチンを接種すると骨肉腫の患者に免疫反応を引き起こし、患者の免疫システムにHer2/neuを攻撃させます。また、骨肉腫細胞にHer2/neuが含まれていない場合もありますが、転移を引き起こす細胞は必ずHer2/neuを含んでいることがわかっており、ワクチンによって転移を予防することが可能になります。これによって、断脚と抗癌剤治療後の予後を大幅に改善することが期待されています。

現在の臨床実験は、骨肉腫と診断されて断脚と化学療法を選択した犬12頭を対象に、ワクチンを接種しその後の経過をみるという形で行われています。メイソン博士は結論を出すのは時期尚早としていますが、現状の経過は非常に期待の持てるもので、重い副作用も見つかっていません。被験者のうち骨肉腫の診断を受けてから500日以上再発・転移のない犬が今年の10月現在3頭(うち1頭は570日経過)おり、またもっと最近にワクチンを受けた犬たちも経過は良好だということです。長期経過した犬には、免疫を活性化させるためのワクチン再接種も行われるということです。

気になるのが、断脚しなかった(できなかった)犬の場合。IWのような超大型犬で、年齢や健康状態などの理由で断脚ができない場合もあります。そうしたケースでも、放射線治療と免疫治療を組み合わせることで癌に対する免疫を活性化させられる可能性が示唆されています。このような予測のもと、メイソン博士は断脚しなかった犬に放射線治療の後にワクチンを接種する臨床試験も開始していました。

まだ研究は初期段階で、より多くの臨床試験などを行って効果や安全性を高めていかなくてはなりませんが、飼い主としては一日も早く実用化してほしいと願うばかり。診断と同時に断脚するかどうかの即時の決断を迫られ、断脚をしてもその後何日・何ヶ月生きられるかわからない、しかししなければ激しい痛みに苦しむかもしれず、遠からず安楽死の決断を迫られる時が来る。ワクチン療法は、この犬にも飼い主にも辛い治療の心身の負担を、相当に和らげてくれるのではないか。とても期待のもてる治療法です。

それと同時に、各国で進められている遺伝子研究も早く成果がまとまってほしいですね。遺伝子が突き止められれば、繁殖の段階で、リスクの高い組み合わせを避けることができるようになります。沢山の涙と辛い別れを減らすことができる、一番確実な方法になるはずです。

私の知っている範囲でも、毎年何頭も骨肉腫で亡くなるウルフハウンドがいます。今現在、闘っている子もいます。飼い主さんの気持ちを思うと、それだけでも辛い。この病気がなくなるのが一番ですが、治療法の進歩が本当に待ち遠しくてなりません。



より詳しい情報:
http://www.iwfoundation.org/articles_detail.html?item_id=42&year=2013
http://www.vet.upenn.edu/research/centers-initiatives/canine-cancer-studies


1968

1968。何の数字だかわかりますか?

最初に言っておきますが、私が生まれた年ではありません。

実は、日本で最初のアイリッシュ・ウルフハウンドが登録されたのが1968年。日本で初めてウルフハウンドが輸入された、日本のウルフハウンド元年なんです。今から45年前。意外と長い歴史があるのですね。

ただしこれはJKC(ジャパンケンネルクラブ)への登録があったということなので、これ以前にJKCに登録しない、またはJKC設立以前にウルフハウンドが日本に連れてこられたことがなかったとは言い切れません。なので、JKCに最初のウルフハウンドの登録があった年、というのがより正確であるかも。

さて、この(一応)日本で最初のウルフハウンドがどこのどういう犬で、その後繁殖されたのか?まさか今も子孫がいたりするのか?誰がどんな風に飼っていたのか??いろいろと知りたくなるのが人情というもの。もう何年も前になりますが、黎明期の日本のIWのことを調べていた時に、知りたくて資料を探したのですが、わかりませんでした。

どこからどういう犬が輸入されたのか、繁殖されたかどうか。本来こういう情報は、ケンネルクラブのスタッドブックを見ればすぐにわかるはず。そのためのスタッドブックですから、あちこち資料を探し求めるまでもないはずなのですが…。JKCに問い合わせたところ、1998年以前のスタッドブックは電子化されておらず(コンピュータに情報が入ってないんですって)、ゆえに資料は出せないというのです(何年か前の話なので、その後遡ってデータの電子化が進んだかどうか聞いてみる価値はあるかもしれませんね)。では本部へ行けば昔のスタッドブックを見せてくれるのかと聞けばそれもダメみたいな話で…。HP上で登録犬の血統情報を検索できるKC(イギリス・ケンネルクラブ)とは天地ほどの違いがあることを思い知らされたわけです。

とにかくJKCは諦めまして、自分なりに調べた結果、多分これかな?という資料に突き当たりました。多分、ですけどね。犬舎名まではわかりませんが、イギリスから牡牝を入れたようです。推測ですが、繁殖も試みたようです。でも多分、その血統はじきに途絶えてしまったものと思われ…。


1969-7愛犬の友広告




写真は雑誌『愛犬の友』1969年7月号に掲載された広告です。セント・バーナードをはじめ、グレート・デーンやマスチフなど大型犬種の犬舎がウルフハウンドも入れたようで、この後数年にわたり『愛犬の友』に広告を出し、犬舎主のご夫婦とおぼしき方がIWと一緒に写っている写真も掲載されていました。「セント・バーナード、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、ピレニアン・マウンテン・ドッグ、アイリッシュ・ウルフハウンド、常時子犬います」なんて、今なら眉をひそめられそうな文句も広告に書かれています。「繁殖訓練研究生募集」ともあり、それなりの規模の犬舎だったようです。

1968年、69年頃の『愛犬の友』は、イギリスのドッグショー「クラフト展」の報告記事のなかで、IWのBOB犬としてイーグルスクラッグ・クロンローやサルハムステッド・マッチの写真が紹介されています。そうかと思うと、犬の総合会社株式会社アニマルなどという会社が、「珍犬種卸販売開始」という広告を出していて、その取り扱いリストのなかにウルフハウンドも入っていたり。この時期、いまから想像する以上に、IWは日本でも知られていたのかもしれません。さらに数年経つと、IWへの注目度も高まってきたのかなと思わせる記事も出てくるようになります。今の犬雑誌の記事とは随分雰囲気が違っていて楽しいので、いずれ機会があればご紹介したいと思います。

1968年に輸入・登録された犬が誰なのか。しつこいようですが、古いスタッドブックがあれば簡単にわかること。何年も前に調べようとして行き詰まり、そのままになっていましたが、どなたか古いスタッドブックをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せいただければ幸いです。

ちなみに最近、アメリカで大規模なIWの血統データベースを運営している方とやりとりをする機会がありまして、それでこの1968年の調べかけの一件を思い出した次第なのですが、その方曰く、カナダでは火災やコンピュータ・クラッシュで初期のデータが失なわれ、フランスも湿気のために古いデータが残っていない(カビでも生えちゃったのか…)などと、案外古い血統情報が残っていない場合もあるようです。100年も前の記録ならばそれも仕方なしかもしれませんが、たかだか45年前、戦後のことですし。調べきれないのが悔しくてしかたない、というのが正直なところ。。。




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